転職(9年ぶり9回目)

Posted at Sat, 30 Mar 2019 09:57:12 +0900 (JST)

転職することにした。

今の会社には2010年1月入社なので、丸9年以上経っていることになる。

ベタに表現すれば、「平成最後の1ヶ月」と「新元号最初の1ヶ月」は、ひたすらに有給休暇を消化する日々を過ごし、6月から心機一転する。

国内のネットワーク機器市場のシュリンクぶりは予想以上に高速で推移し、同時に二極化した。

比較的大規模でシャシー型が使われることが多いコアネットワークでは海外製品が、ブランチ区画や端末を収容するエッジネットワークで使われることが多い1Uサイズのボックス型は国内製品が、という流れだ。
しかも後者は、こう言ってはナンだが、家庭用に毛が生えた程度のものが使われるようになり、間違っても1台10万円は越えない。下手すると1〜2万円のものを大量に導入し、壊れても修理せず新品と置換するだけのお手軽運用である。

こうなってしまうと、これまで9年ほど居た、シャシー型ネットワーク機器をメインに国内で開発・製造・販売・保守していた企業は一溜まりもない。斜陽化の一途を辿ることになる。

ここ5〜6年、間接部門→営業部門→開発・製造部門→保守部門の順に人員を削ることを繰り返し、どうにかこうにか命脈を保とうとしていたものの、親会社の1つが、保有する全株式を投資会社へ売却したことが運の尽き。私も辞めることにしたのだ。9年ぶり9回目である。

では、次の職種はどうするか。

これまで新卒から21年、携帯電話網・国際電話網・固定電話網・IP網・広域イーサ網と、ずーっとネットワーク屋をメインに、DC構築やレンタルサーバやセキュリティの仕事をサブに、生業としてきた。

「そろそろセキュリティ屋に商売替えすべきかもしれない」

そう思い、今年1月中旬から転職活動を開始し、数社のセキュリティベンダと面接させていただく機会を得た。応募職種はTACだったりSEだったり色々だ。その結果、1社からは正式なオファーレターが提示され、収入も今より越える内容ではあった。

だが、止めた。

理由は、たぶんこれは私が間違えているのだろうが、セキュリティベンダが提示したセキュリティ技術の内容が、私の想像の域を出なかったからだ。

有名な言葉に、元任天堂のエンジニアである横井軍平氏の『枯れた技術の水平思考』というのがあるが、それと同じだと思われたからだ。

『最先端ではないが、すでに広く使われて、ノウハウも固まり不具合も出し尽くして安定して使える技術を、今まで無かった使い道を考える』

セキュリティ業界は、まさにこれを追い掛けているだけなのではないか?
そんな気がしたのだ。

秒進分歩の半導体技術により、通常の使用方法なら充分な能力を、驚くほど小電力かつ小規模な筐体に収めることができるようになった今、「適切な実装」であれば、セキュリティ面での脅威は低く見積もることができる。しかし、「不適切な実装」をすると、ここぞとばかりに攻撃に晒され、今まで無かった使い道をされる。

それを予知・防御するのがセキュリティの要諦なのだ、と。

私はここに魅力を感じることができなかったのだ。

結局、私はネットワーク屋としての転職活動に切り替え、2月下旬に1社からお声掛けいただいたのを機にトントンと話が進み、3月27日にオファーレターが提示され、それにサインしたのだ。
私の年齢でも収入が上がるようなオファーだったことも、サインした理由の1つである。

この判断が吉と出るか凶に化けるか、もちろん現時点では判らない。ただ、魅力を感じない仕事を延々とするのがどれだけ辛いかも知ってるので、そこは譲れなかったのだ。もし凶に化けたとしても、自分を恨めば済む話だ。

来週からの2ヶ月は、体と脳味噌のリフレッシュと、新会社で従事する技術に関する読書に没頭しようと思う。