「Gemini PDA」をGet

Posted at Sun, 10 Jun 2018 09:59:08 +0900 (JST)

事前の噂では今年1月には受領できると言われていたものの、実際には延びに延びていたGemini PDAがやっと出荷され、8日に受領した。

今回受領したのは3台出資したうちの1台だけだが、受領後、それはもう久々に覚える高揚感を持って、嬉々として2日連続で12時間、合計24時間ほど使って環境構築に勤しみ、毎日の平常運用に持って行けるところまで作り込めた。

実機を触れば解るとおり、その感想はたった一言、「控え目に言って素晴しいものだ」。

前回のエントリでも打ったとおり、40を越えたオールドモバイラーなオッサンは、たとえスマートフォンであっても、物理キーボードからは離れられない。指が太いためフリック入力や仮想キーボードでは誤タッチ連発のため長文が打てないし、特殊記号を入力できないが故にサーバの管理も覚束無いからだが、それ以前の問題として、ここ数年で爆発的に流行し、あっという間に定着してしまった、モバイルが大前提のSNSであるTwitterやInstagramでは長文を打つことが嫌われている節もある。

だが、世界では圧倒的にシェアが少ないものの、ポケットに入るサイズで物理キーボードを必要とする人間は居り、Gemini PDAはその層に圧倒的に支持されたようだ。なお、「出資者の3割が日本から」という記事も出ており、日本人はつくづくこういうガシェットが好きな国民なのだなぁと思う。

Gemini PDAの物理キーボードは、私が今まで所持してきた歴代のモバイルガシェットやスマートフォンの中でも最高品質のものであることは間違い無い。打鍵感もしっかり有り、慣れれば誤タッチも少ない。打鍵速度がそこまで速くない私からすれば、Deca coreというCPUリソースも相俟って、入力を零すこともほぼ無い。

後述する理由でDebianはまだインストールしておらず、確実に認識するという情報が出ていたSandisk製400GBのmicroSDXCを内蔵フラッシュメモリと一体化させ合計460GBのストレージとし、Android OSのみのSingle Boot環境である。自宅や会社と同様、スマートフォンなのにSKKで日本語が入力できるのは、想像以上にストレスが軽減される。

明日から会社にも持って行き、実際の使用感ともども、どのような塩梅なのかを見極めていきたいと思う。

「じゃぁ、Gemini PDAは完璧なんだな?」と訊かれると、現時点では首肯し難い。

再起動する度にキーボードの設定がいちいち吹っ飛んだり、つい2週間ほど前に最新版のOTAが「重大なバグがある」として取り消されたりと、まだまだAndroid OSの作り込みが甘いし、LinuxとのDual Bootも「とりあえず可能だけど、使いものにはならない」レベルに留まっている。ただ、これらはいずれもソフトウェアの問題なので、開発元が出資者へのハードウェア出荷作業を終えればソフトウェア開発にリソースを割けるようになるため、時間が解決する類の話だろうし、ハードウェアが手許に届けば市中のソフトウェア開発者も増やすことになるため、解決する速度は加速すると思われる。

ハードウェアでも、「キートップのレーザ印刷が速攻で剥げる。1週間持たない」という話はあちこちで聞く。剥げたキートップはいかにも情けないので、予防策として、受領直後にプラモデルのデカール剥げ対策でお馴染のトップコートを軽く吹いている。

これらはふつうの製品では考えられない事態ではあるものの、クラウドファンディングによる製造が事実上手作りであることは出資者側も百も承知しており、こういったトラブルをご褒美として個々人が対策できないようでは手を出すべきものでは無い性格のものなので、今後も色々起きるかもしれないが、それは楽しみとして取っておきたい。

ただ、こういった事態を飲み込んでも、Gemini PDAが「控え目に言って素晴しいものだ」という意見は変わらない。

現時点で開発元は「ハードウェアの次期バージョンは考えていない(今はソフトウェアの品質を上げることに注力したい)」とコメントしており、もしかするとハードウェアは今回で打ち止めになる可能性すらある。

こんな情報を読むにつけ、バックアップ含め複数台分出資した今年1月10日の自分を「おまえ、よくやった!」と抱き締めて褒めてやりたい。