「Gemini PDA」に出資した

Posted at Sun, 14 Jan 2018 08:57:14 +0900 (JST)

久々に琴線に触れる記事が出た。

『フルキー装備のAndroidスマホ「Gemini PDA」、日本展開も』

先に結論を言えば、私は「Gemini PDA」に出資した。「4G+Wi-Fiモデル」と「Wi-Fiモデル」の両方を1台ずつ。

現在はあくまで「製品化予定」というステータスであるものの、既にモノが出来上がっており、『今月中に出荷予定』というアナウンスを信じて、純正革ケースや送料含め合計1,019ドル=10万円以上となった。

予想どおりのマシンなのか、どーしよーもないジャンクなのか、そもそも10万円をドブに棄てたことになるのか、新年早々賭けに出てみた。

2005年、私はWILLCOM(当時)が出した物理フルキーボード装備のPDA「W-ZERO3」を、激しい争奪戦を勝ち抜いてファーストロットを購入でき、バッテリがヘタるまでの5年間、主に自宅サーバで運用していた私が持っているドメインでのメール送受信で便利に使っていた。PHSなので通信料金が定額制だったものの、通信速度が128kbps(黒耳W-SIM)→204kbps(赤耳W-SIM)と低速だったことと、W-ZERO3に実装されているRAMが低容量だったこともあり、13年前とはいえWebブラウズには厳しく非常時だけだった。

2010年、友人が華燭の宴をグアムで挙行するとのことで、海外でも同様の通信環境を整えようと調べてみると、Sony Ericsson(当時)がヨーロッパでリリースした「Xperia mini」という掌サイズの物理フルキーボードAndroidスマートフォンを見つけ、池袋の海外向け携帯電話専門店で購入し、その足でNTT DoCoMoでSIMのみを契約した。ディスプレイが3インチと極小なものの、洗練されたUIとW-CDMAによる高速通信にビックリした。デフォルトだと日本語のフォントが所謂「中華フォントによる代替表示」となる状況への対策として、自分で日本語TTFをインストールせねばならないものの、それさえ実行すれば、メール送受信は勿論、Webブラウズにも何の問題も無かった。

2011年、「Xperia mini」をそのままスマートフォンと同じサイズにした物理フルキーボード付きスマートフォン「Xperia pro」をSony Ericsson(当時)がヨーロッパでリリースしたことを知り、XPANSYSで購入。シンガポール向けの筐体が届き、日本語モードも実装されていたものの、デフォルトだと日本語が中華フォントで表示される状況に変わりは無く、Androidがアップデートされる度に自分で日本語TTFをインストールする手間はあるものの便利なので使っていたが、世界的にも売れてなかったのか、末期にはAndroidのアップデート対象から外されてしまう。

セキュリティ面で不安になっていた2015年、スマートフォンに物理フルキーボードが実装されることは無くなってしまったので、已むを得ず、個人的には初の「物理フルキーボードなしスマートフォン」である「Xperia Z3+」をXPANSYSで購入し、現在まで不承不承使っている。

なぜXperia Z3+が不承不承なのか。性能は問題無い。FacebookやらTwitterやらInstagramやら、いわゆるSNSはセキュリティの観点から一切やるつもりは無いし、LINEなんぞ論外だ。ゲームも専用機でしかやらないので、性能は寧ろ過剰なぐらいだ。

私のスマートフォンの主な用途は「メール送受信」「RSSチェックとWebブラウズ」「自宅サーバへSSHでアクセス」「自宅で録音した平日昼ワイドのラジオ番組をダウンロードして帰宅時に聴く」の4点だ。これは2010年から変わらない。

これら用途から、スマートフォンへの文字入力環境として、自宅や会社と同じように『思考を邪魔しない程度に速くできる』ことを望んでいるのだ。

翻って、ソフトウェアキーボードを目の前にすると、私は指先が太いからか誤タッチしまくるため、メールを打つ際に誤解を招かぬような長文を認める気力を途中で失うし、自宅サーバにアクセスしてメンテしようとしても、スラッシュ(/)だのパイプ(|)だのチルダ(~)だのアスタリスク(*)だのグレーターザン(>)だのの記号の入力でいちいち手間取る。さりとて、スマートフォンでの物理フルキーボードによる入力が便利であることを知っている40を越えたオッサンから「フリック入力」というスキルを見ると、なんと非効率なことか…習得する気を無くすのに充分だ。ましてや、わざわざ会社に「ホスト接続対応USBケーブル」を準備し、非常時にはそれを使って、会社のPCからひっこ抜いたキーボードを繋ぐようでは、ちっともスマートではない。

つまり、私にとって「物理フルキーボードが無いスマートフォンは、ほぼ無意味だ」ということを、この2年ちょっとで改めて認識させられたのだ。

上記のような経緯を踏まえて「Gemini PDA」のスペックを確認すると、「買わない」という選択肢は無い。サーバのメンテナンスに必須の記号入力も可能な物理フルキーボードであることには驚いた。特にパイプ(|)が入力できるのは嬉しい。

『AndroidとLinuxのデュアルブート』というのも、個人的にはメリット以外の何物でもない。上述したW-ZERO3を廃棄して以降、自宅からWindows PCを撤去し、現在に至るまでPCもDebianに移行して生活している身としては、もしAndroidのアップデートが提供されなくなったとしても『ポケットに入るDebian PC』として壊れるまで使い倒せる。往年のHP-200LXのようになるかもしれない。

今回、「4G+Wi-Fiモデル」と「Wi-Fiモデル」がリリースされたのに、わざわざ「Wi-Fiモデル」も追加で購入したのは、こういう意図である。2018年1月時点では、4Gサービスがいつまで提供されるか不明だからだ。「Wi-Fiモデル」はモスボール化して保存することにしている。