NTTの決断
以前から言われていたとおり、NTTのPSTNのIP網化が正式にリリースされた。
『NTTが固定電話をIP網へ移行、環境変化で機能や品質も見直し』
提示された資料は内容はなかなか興味深い。特に
“既存のメタルケーブルを継続利用”
というのには恐れ入った。てっきり現行の『ひかり電話方式』へ強制的に全面移行させられると考えていたからだ。
現在のマンションに引越す約1年前、当然、固定電話も移設したのだが、その際にNTT東日本からしつこく言われたのが
「ひかり電話ではなく加入電話で移設するんですよね?」
ということだ。
この引越しで已むを得ず新規でフレッツ光(但しラストワンドロップはVDSL回線)も敷設することになってしまったのだから、NTT東から見れば至極真っ当な指摘だろう。東京23区が3級局であることを考えても月額料金は1/3以下になる。しかし、
「ユーザ宅の停電ごときで使用不能となる固定電話なんぞ存在する意味が無い。『局給電による通話』こそ固定電話の基本的な機能だ」
と考えている私には、回線終端装置が壊れたり、回線終端装置への給電が止まったりで使えなくなるひかり電話にする意味はまったく無い。が、それも、NTT東西のPSTNがIP網化されるまでの“最後のあがき”だろうなぁという漠然とした思いを抱いていた。
しかし、今回のリリースを読むと、今後もメタルケーブルが残り、加入者交換機をそのままメタルケーブル集線装置へ転換することで局給電も続けられるようだ。
逆に言えば、ひかり電話の3倍の料金を払ってもらえれば、NTTとしても局給電を維持できると踏んだのだろう。
3.11以降も比較的大きな地震が相次いでいる現在でも、携帯電話が移動機や基地局のバッテリが死ねば何もできず、災害時の通話や通信には依然として固定電話が有利であることに変わりは無い。この点が決定的に変化するまで、私は「局給電される固定電話」を維持し続けるつもりだ。