今後の災害へ備えるために

Posted at Sun, 20 Mar 2011 13:26:34 +0900 (JST)

今回の地震はあまりに被害が大きい。被害に遭われた皆様には慎んでお見舞いを申し上げる。

地震から1週間以上経過した昨日、やっと部屋の片付けを終えた。仕事の都合で地震当日は一旦帰宅したものの再度出社→また帰宅したりしており、なかなか時間を確保できなかったのだが、昨日でとりあえず一段落した。

今のマンションに引っ越す際、地震対策の一環として、天井への突っ張り棒機能を備えたスチール製本棚を購入したお陰で、本棚そのものが倒れるようなことは無かったものの、本棚の中身の6割が床一面にぶちまけらると、人はその光景を前に呆然とせざるを得ないことと、その片付けには丸1日必要だということを、今回の地震で学んだ。当然のことだが一部の本が損傷したこともショックだ。やはりこれからも別売のビニール製カバーを実装したほうが良いらしい。今までも学術系の稀覯本はそうしていたが、これからもそれは継続していこうと思う。カバーを付けた本は、本棚から落下しても損傷が無かったのだ。

幸いなことに、現在は東京都内で比較的安穏とした生活を送ることができている。しかし、平時の生活を送る際にも貴重な教訓を今回の地震は残した。それまでの私の災害に対する備えの感覚を根本から変えさせられたと言って良い。

石原慎太郎の“我欲”発言ではないが、一部の人間の我欲による買占めがこうまで悪影響を及ぼすことが判ってしまった以上、今後も起きるであろう災害に対応するには、平時から自分の食糧確保に余裕を持たせなければならないだろう。

私はそれまで、このような事態を考慮し、即席の袋麺ならば常に10食程度を確保していたが、そればかりを食うのはストレスが溜まるし、勤務先での食糧として使えないことが判った。平時は昼飯をコンビニで適当に購入しているが、そもそも商品が入荷しそうにない、または入荷したとしても極めて少量である現在の状況ではそうも行かない。こういうときは電力が供給されている間に米を炊いて握り飯なんかを持参するのがベストなのだろうが、肝心の米が無ければどうしようもないのだ。

今まで米は、切れそうになったら買い足すようにしていたが、今後は常に5kg〜10kg程度を自宅に確保するようにしなければならないだろう。これは水と塩も同様だ。10〜20リットル程度の水と1kg程度の塩は蓄えておかねばならない。電力が無くとも別の手段で火を起こせば米が炊けるのだから。「『飯が食える』という安心感」は何にも勝るものであることを改めて認識させられた。

これまで政府や地方自治体は「災害発生後3日間は自分でサバイバルせよ。概ね3日経てば救援の手が伸びる」ということを盛んに喧伝していたが、今回の地震は『それでは不充分』ということを如実に示した。もし災害発生後も自分が生存していた場合、そのときの首相や地方自治体首長次第では、また被害の程度次第では、たった3日間ぽっちでは被災者に救援の手が伸びない可能性が充分あり、その間は自分の手で生き伸びることができるような準備をしていなければ、それは無駄死にを意味するのだ。

また私はふだんの外出時からポケットラジオを持参していた。今回の地震でも同僚がケータイでワンセグ放送を見ている中、ひとりラジオを聴いていたのだが、情報の正確性ではラジオに勝るものは無かった。テレビは映像を伴うためか、センセーショナルな映像とニュースソースを優先して放送する傾向にある。今回で言えば震源地に近い被災地の津波の映像が繰り返し放送されていたが、発生直後、首都圏に居る我々が欲していた情報は「鉄道が再開するか否か」「帰宅する術はあるのか否か」である。結局その情報が最も早かったのはラジオであった。AMにしろFMにしろ、ラジオ放送は災害時の迅速な情報提供のために今後もアナログ放送で運営されることになっているのだから、その特性をフルに生かしたものだと言える。

また今回は地震発生時に停電しなかったためケータイを充電しながらワンセグ放送を継続して受信できたものの、停電した場合はそうは行かない。ケータイはあくまで通信機器で、オマケ機能であるワンセグ放送は受信に演算を伴うためバッテリの消費が早いのだ。下手をすれば最後の生命線を握っている可能性がある通信機器を1秒でも長く生かすにはワンセグ放送受信なんぞにバッテリを使っている場合ではない。こういうときにはラジオが勝るのだ。私のジャケットは常にポケットの1つをラジオと替えの電池に占領されているが、その思いは今回の地震で更に強くなった。

現在の物流の混乱が落ち付いたら、災害に対する備えを大幅に見直すことにしている。今それをやっても物流の混乱に拍車が掛かるだけだ。まずは被災地への物流を優先しなければならない。ここは大して被害がない住民の我慢のしどころだ。