IS01ファーストインプレッション

Posted at Sun, 12 Sep 2010 07:27:47 +0900 (JST)

IS01のカスタマイズが終わったので、ここでファーストインプレッションと、それまでのスマートフォンに関する記憶を記録しておきたいと思う。

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2005年の年末、ある意味で衝撃的にデビューしたWILLCOMの「W-ZERO3」(WS003SH)以来、日本ではスマートフォンという市場が垂直に立ち上がり、各キャリアに広がったのは、2010年の現在では疑いようがない。

私も当時「W-ZERO3予約購入戦争」に参戦、WILLCOM側の設備故障(恐らくHTTPロードバランサの異常動作)の挙動を読んで、どうにか発売日到着分の予約をGet、発売日当日を待った。

果たしてW-ZERO3は、まさに私のような自宅鯖運用者には福音をもたらす素晴しい代物だった。はっきり言えば通信速度の面で一般ユーザには使い難いだろうが、自宅鯖で自分のドメインを動かし、遠隔からコンソールを掴むにはもってこいの移動機だったのだ。PockeTTYという海外製のシェアウェアでSSH経由にてコンソールを掴み、QMAIL3という国内製MUAはWindows Mobileに対応した数少ないフリーウェアで自宅IMAP鯖と接続しE-mailを送受信したりした。Windows Mobileに関する知識やノウハウはW-ZERO3から得たものだ。

しかしW-ZERO3とて弱点が無いわけではない。Windows Mobileのあまりの不安定さには当初戸惑った。某サイトでは“息をするように毎日再起動する必要がある”とまで言われたが、その表現は強ち間違いではなく、私も毎日出社後に再起動していたものだ。

そんな相棒だったW-ZERO3も、2008年秋に電源が一切入らなくなった。ACアダプタを挿しても症状が変わらないので、恐らくバッテリ以外のところが壊れたのだろう。友人から次世代に当たるWS007SHを格安で譲ってもらったりしたが、あまりの画面の小ささに愕然とし、W-ZERO3のためだけに残していたWindows XP機も無用の長物となったため、自宅PCは完全にDebianに移行してしまった。やがてWILLCOMがSBMに事実上買収されることになり、そもそもVisual Phone欲しさから約11年続いた契約をバッサリ切ることになろうとは、約2年前には思いもよらなかったことである。

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IS01が、リリース当初の不評が嘘のように売れているらしいことを耳にするまで、そう時間は掛からなかった。同時にリリースされたIS02はWindows Mobile機なので、先述のような経験から選択肢の外となり、購入するターゲットはIS01しか無いのだが、当初はどうにもこうにも女子供に媚びた代物にしか見えなかったのだ。しかもAndroidというのも若干気に食わない。結局はGoogleに個人情報(というか、今で言うライフログ=行動履歴)を渡さねば碌に使えないことが判っていたためだ。

ただ、W-ZERO3時代の“小気味良さ”はなかなか忘れられるものではない。NetWalkerも使っていたが、家から1歩でも外に出たらWANへ出る手段が限られるというのはストレスが溜まるものであることも判った。ただ、iPhoneやXperiaを見ていると、どうやら世界の流れとして、鯖管理には必須である「物理キーボードを実装したスマートフォン」が今後発売されそうにないこともあり、消去法でIS01にするしか無さそうだ…という判断に至ったのは、先月末ぐらいである。

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それまで断片的に仕入れていた情報では

– キーボードの出来は良い
– 画面は想像以上に大きく視認性も良い
– とにかくバッテリが持たず1日1回要充電
– 付属のMUAはIMAP非対応
– 付属のソフト群によるメモリ消費が激しいクセに削除できない

という、ポジティブ/ネガティブ双方入り乱れたものだ。ただKDDIであればバッテリは年に1度貰えるし、MUAは代替ソフトが出るだろう、付属ソフトだってオールリセットすりゃ削除できるだろ…と楽観視しながら調べていくうちに

– MUAは「K-9 Mail」がマルチアカウントかつIMAP対応
– SSHクライアントは「ConnectBot」で問題無し

であることが判り、購入に至った。

購入後、まずは上記ソフトをAndroidマーケットからダウンロード→インストールして試験したところ、確かに問題無いことが確認できた。「K-9 Mail」は自宅IMAP鯖とも同期し、E-mail送受信とも支障は無かった。「ConnectBot」は秘密鍵方式かつ文字コード変更もでき問題無かった。これでいざとなればConnectBotから自宅鯖にSSHでログインし、鯖上でEmacsを立ち上げてゴニョゴニョできる。ちなみにAndroidでは、Escはトラックボールをダブルクリック、Ctrlはシングルクリックで投入できるため、若干操作に戸惑うことはあるもののEmacsは使える。誰かAndroidで動くEmacsをリリースしてくれまいかと思うのだが、CPUアーキテクチャ毎にコンパイルしなければならないので無理っぽいなぁとも思う。

噂のキーボードは、個人的にはそうでもなかった。深く押し込むのは良いとして、キーアサインが若干変態なので、IS01のみで長文を打つのは苦労しそうだ。選択肢外としたIS02の唯一の利点が「キーボードのキーアサインが通常のPCとほぼ同じ」ことなのだが、それとて“ほぼ同じ”なので、ここは慣れの問題だと割り切るしかない。

バッテリだが、確かに持たない。これだけ大規模なソフトウェアと大きな画面を載せているのに1,400mAhしか無いというのは、どう考えても設計ミスだろう。特に無線LANで運用していると半日どころか6時間も持たない。せいぜい4時間だ。拙宅で設定している無線LANアクセスポイントの暗号設定(WPA-PSK(AES)方式かつSSIDステルス化)もバッテリ消費に拍車を掛けているのかもしれないが、「パケット代がキャップされる料金プランがあるのだから、無線LAN接続はオプション」という設計思想なのかもしれない。そもそもAndroidマーケットからソフトウェアをインストールできるのが3G経由のみに絞られているのだから、そう考えるのが妥当なのだろう。なお私は充電に、かつて使っていたWILLCOMでの最後の移動機「WX340K」の付属充電器を使っている。この充電器は移動機との接続インタフェースがmicroUSBで、出力電圧が同じ5.0V、出力電流もKDDI謹製充電器と大差無く(KDDI謹製が600mA、WX340K付属充電器が550mA)、今後は世界的に移動機の充電インタフェースをmicroUSBに統一する動きがあるというニュースから「またどこかで使えるだろう」と棄てずに保存しておいたものだ。企らずも今回それを検証することになったが、結果としてこれも問題ないことを確認できた。IS01に付属している充電用変換アダプタがあまりに大きく、持ち運ぶにも邪魔なので、これは嬉しい誤算である。

まだ本格的な運用しているわけではない(外に持ち出してない)ので、今後どういう印象に変わるか不明なものの、総合すると今のところはそんなに悪いイメージではない。しばらくはこのまま使い続けようと思う。