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引越した(7年ぶり3回目)

Posted at Sun, 28 Dec 2014 14:16:08 +0900 (JST)

人間、歳を食うと、思考が守勢となるようだ。

大学を卒え社会人となり経済的にも親から独立して16年、ずっと私は、「家なんぞ買う必要は無い。我々が住む日本列島はその出自を考えると、いずれは家が潰れるような大規模な地震に襲われるという運命からは免れない。にもかかわらず、人生を左右しかねない住宅ローンを組んでまで家を買うのは愚行以外の何物でもない」との考えから、住居は賃貸であり続けた。

が、2011年3月11日以降は考えが変わった。「あれだけ大規模の地震を食らっても、予想に反して家は潰れず、とりあえず生き残ることができた」のだ。もちろん、あの地震以上の大規模な地震が起きたらどうなるかは解らない。3.11が偶々だった可能性も充分ある。だが、あの地震が、その後の己の人生の割り切りをも考えさせる切っ掛けになったことは間違い無い。

『現時点で予定が無い以上、恐らく今後も結婚はしないだろう。存分に己の趣味に忠実に生きることができる。言い換えれば、護るべき身は己ひとつだ。健在である限りは己の両親に迷惑をかけることなく、いざとなれば確実に通信できる手段を安定的に確保できさえすれば、あとはどうでも良いのだ』

そう思い至ると、家賃の支払いが莫迦らしくなってしまったのだ。

さりとて、住宅ローンを組むにしても、返済に充てられるカネに限度はある。自慢ではないが貯金は最低限しか無い。アベノミクスなるふざけた渾名の経済愚策が実行されている間も含め、今後の日本は収入格差が広がることは目に見えている。いずれは「賞与」なる慣行も無くなるに違いない。

すると、組めるであろう住宅ローンの上限は必然的に、(1)毎月の返済は現在払っている家賃以下で、(2)賞与支給時の上乗せ返済等は一切考えず、(3)60歳の定年までに完済できる金額になる。

また、巷では「限界集落」というニュースが喧しい。個人的には東京23区内を離れるつもりは一切無いので頭の片隅にしか置いてなかったものの、これから明らかに人口減となる日本ではコンパクトシティという考え方が重要になろう。歳を食っても徒歩圏内で通える鉄道駅とスーパーマーケットと医療機関がある街でなければ生死に係わる。

更に、現代の生活では電力が欠かせない。すると、3.11で発動した輪番停電でも頑ななまでに停電地域対象外とされた東京23区以外に住むことは考えられないだろう。

…そんなことをボンヤリ考えつつ、前回の賃貸契約の更新直後から物件を探し始めると、時を同じくして住宅ローン金利がアホみたいに下がり始める。直接的には長期金利が軒並み下落したことが原因なのだが、それを嚆矢としてどこの都銀も「住宅ローンでは利益が出ない」ぐらいの超低金利競争が始まった。ただこれは借りる側には有利な話だ。貧乏人な私にとってもタイミングは今しかない。

己の借りられる金額からネット上で物件の状況を比較しながら調べていると、それまで賃貸で住んでいた私鉄の駅から2駅多摩方面に寄ったところに、築年数は相当行っている(私の姉と同い歳!)ものの、そこそこ駅から近く、リノベーション直前の中古2DKマンションがヒットしたため、ついカッとなって購入することにしたのだ。

幸いなことに社会人1年目から使っているメインバンクの某都銀へ申し込んだ住宅ローンはすんなり下りた。これは、住宅ローンの連帯保証人に年老いた両親の財布を差し出すという、いい歳こいた人間がやってはいけない最低な事態は避けられたことも意味する。もし私が今後どこかで野垂れ死んだところで誰にも迷惑をかけずに済む。

引越し作業そのものは去る20日に済ませたものの、今日の時点でも引越し荷物は完全に片付いておらず、恐らく年明け後もしばらくはバタバタするだろうが、それが落ち着きさえすれば、あとは粛々と、己の人生の終焉まで、趣味を満喫した生活を送りたいと思う。